タイ法務改正動向:会社設立、会議運営等に関する会社法の一部改正案

2020年6月、タイ内閣は、規制緩和の一環として、タイ会社法(タイ民商法の会社関連部分)上の一部手続きに関する改正案を閣議決定しました。

主な改正内容は以下の通りです。

 

改正前

改正案

登記申請地

株式会社の登記は、会社住所地を管轄する商務省事業開発局(DBD)事務所に申請する。

株式会社の登記申請は、会社住所地に関わらず、いずれのDBD事務所でも登記申請が可能

基本定款の期限

会社法上、基本定款(memorandum of association)の有効期限について明記されていない。(別途、「パートナーシップと会社の登記に関する規定」により、基本定款の有効期限は登録から10年間と規定される。期限内に法人設立が完了しない場合には、基本定款は無効となる。基本定款には商号も含まれているため、商号の予約と基本定款の登録手続きが再度必要となる。)

基本定款の有効期限は登録日から3年間とされる。3年以内に法人設立が完了しない場合には、基本定款は無効となる。(基本定款が無効となった場合の取り扱いは改正前と同様)

株券への会社印押印の必要性

株券の有効化には、商務省での会社印の登録有無にかかわらず株券への会社印の押印が必要

会社印が商務省で登録されている場合のみ、株券の有効化には会社印の押印が必要

電子会議形式による取 締役会開催の有効性

電子会議形式(ビデオ電話、ウェブ会議システム等の通信機器を利用した会議開催)での取締役会の有効性について言及がない

取締役会は会社定款で禁止されていない限り電子会議形式の開催も有効とされ、通信機器を通じて参加した取締役も取締役会の定足数の対象となる。

無記名株式を保有する株主への株主総会招集手続き

招集通知は、総会日の7日以上前に、1回以上の新聞公告及び各株主への配達記録での郵送を行う必要がある。

招集通知は、各株主へ配達記録での郵送を行う。但し会社が無記名株式を発行している場合は、新聞公告も合わせて必要となる。(なお、無記名株式は譲渡が自由であるため、
株式譲渡を想定していないタイ日系企業は通常であれば記名株式のみを発行していることが多い)

本改正案は、今後国会での審議・承認手続きを経て施行される予定です。

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(2020年7月作成)

 

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本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。