タイ税務改正動向 :長期投資に対する個人所得税優遇の改定

タイでは個人の投資・長期資産形成の活性化を目的として、一定の条件の投資信託や保険商品への投資額について、個人所得税計算において所得控除を認める税制優遇を実施しています。2019年12月に一部の制度新設、改正がされ、概要は下記の通りです。

1. SSFs(スーパー・セービング・ファンド)税制優遇の新設

 2019年で終了したLTFs(長期投資信託)への投資優遇の代替措置として、当優遇が新設されました。

  • SSFsの当該年度の投資金額を個人所得税計算において所得控除できます。控除限度額は課税所得の30%又は200千バーツの大きいほう、かつSSFs控除額と他の年金制度(*) 控除額の合計が 500千バーツ以内まで。
  • 最低保有期間は購入日から10年
  • 購入最低金額の規定はなく、1バーツからでも購入可能
  • 継続投資は不要(退職年金(RMFs)は毎年の継続投資必要)

2. 退職年金(RMFs)税制優遇の一部改正

 

変更前

変更後

最高所得控除額

-    収入の15%まで、かつ

-    その他年金制度(*)での控除額との合計が500千バーツ以内

-    収入の30%まで、かつ

-    SSFsやその他年金制度(*)での控除額との合計が500千バーツ以内

最低投資額

毎年の収入金額の3%、または5,000バーツのいずれか低い方

(設定なし)

継続投資義務

毎年継続的に投資する必要あり。次回投資を連続して1年以上先には延期できない

毎年継続的に投資する必要あり。次回投資を1年以上先には延期できない

(*)税制優遇が認められる退職投資信託、プロビデントファンド、政府年金、私立学校法上の救援基金、国民貯金基金、生命保険等

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(2020年2月作成)

 

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