タイ税務改正動向:2020 年末個人消費刺激策としての個人所得税減税措置

2020年10月、歳入局は、コロナウイルス経済対策の一環で年末シーズンの個人消費を 促進する目的で、一定の物品・サービス購入に対する個人所得税の減税措置(Ministerial Regulation No. 368)を公布しました。概要・適用条件は以下の通りです。

1. 2020年10月23日から12月31日の間に個人が一定の条件を満たす物品又はサービス購入で同期間内に対価の支払を行った場合、2020年度の個人所得税の課税所得から3万バーツを上限として支払額を控除することができます。

2. 本件措置の適用対象の物品・サービス

  • VAT登録事業者からの物品購入又はサービス提供(但し以下③を除く)、
  • 登記された法人又はパートナーシップからの書籍・電子書籍購入
  • OTOP (タイ政府主導の一村一品プログラム) 認定小売店からのOTOP製品の購入

3. 適用対象外となる物品・サービス

  • アルコール飲料、タバコ、ガソリン
  • 自動車、バイク
  • 新聞、雑誌(それぞれ電子媒体によるものも対象外)
  • 観光業法上の旅行事業者へのアレンジメントフィー(取扱手数料)
  • ホテル業法上のホテル事業者への宿泊代

4. 本件措置の適用には、物品・サービス購入の支払いに関してVAT登録事業者からFull-Tax invoice(※1)を入手し、本件措置適用の証票として保管しておくことが求められます。簡易Tax invoice (※2) のみの入手では本件適用ができません。

(※1) Full-Tax invoice ・・税法84/4に定める項目(ex. 販売者及び購入者の氏名・住所・TAX-ID、本体価格、VAT金額等)を網羅したTax-invoice。

(2※) 簡易Tax invoice・・一般消費者 向けの小売業者等で発行が容認される一部記載事項が省略されたTax invoice。キャッシュレジスターからの印字で発行される場合が多く、「Tax invoice (ABB)」と記載されています。

5.  “Half-Half” プロジェクト・国家福祉カードプロジェクト(2020年9月国会決議による貧困層向けの購買支援策)による支援の対象者は、本件措置の適用が出来ません。

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(2020年11月作成) 

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