タイ税務改正動向:優良輸出企業/登録輸出企業の申請について

歳入局は、現在の優良輸出企業登録申請書(Form SorDor.1)と登録輸出企業申請書(Form SorTor.1)を廃止して、新しくこの二つを統合した“優良輸出企業・登録輸出企業申請書(Form SorOr.1)を制定すると発表しました。

これは様々の申請書の簡素化とデジタル化をすすめるデジタル財務省計画の一環としておこなわれ、より効率化を図るものです。

当該申請書は2021年9月15日から利用可能となっていますが、以下の方法で提出ができます。

1. 管轄の税務署もしくは大企業対象税務部門

2. 歳入局ウェブサイトからのオンライン提出

ここで、優良輸出企業と登録輸出企業についてまとめてみますと以下のようになります。

【対象となる企業について】

優良輸出企業

登録輸出企業

VAT登録されている、タイ法人(Limited Company or Public Company)

VAT登録されている、タイ法人、パートナーシップ、個人

払込資本金1千万バーツ以上もしくはAuthorized Economic Operator(AEO)(*1)であること。

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一般企業の場合、申請書提出前の1年間の輸出売り上げ割合が70%以上、AEOの場合は50%以上であること。

申請書提出前の1年間の輸出売り上げ割合が50%以上であること。

  • 3年以上の事業実績(3会計期間)
  • 建物・土地・工場等の不動産を所有し、健全な事業を遂行していること
  • 申請書提出前の直近決算において債務超過では無いこと。
  • 良好な納税実績があり、事業に応じ適切に納税を行っていること。また租税回避行為等を行っていないこと。
  • タイ工業会、タイ貿易振興会、タイ商工会議所等の貿易に関する組織・機関に加盟していること。

 【申請条件】

1. 申請者はVATの還付は銀行口座入金が求められます。

2. 複数の事業所がある場合には、どれか一箇所を登録します。

3. 申請時に提出される監査報告書は株主総会で承認を受けたものであり、歳入法典に規定される手続きを踏んでいる必要があります。

4. 申請時には税務調査が実施されます。

【恩典】

優良輸出企業

登録輸出企業

VAT電子申告の場合には、還付申請より15日以内の還付実施

VAT電子申告の場合には、還付申請より30日以内の還付実施

VATの書類申告の場合には、還付申請より45日以内の還付実施

VATの書類申告の場合には、還付申請より60日以内の還付実施

当該恩典は承認月から2年間有効であり、その後2年の更新が可能。更新時には歳入局の調査がされるとされています。

*1.   Authorized Economic Operator(AEO):安全保障・管理に優れた輸出入業者として、国際物流の手続きの簡素化等の恩典を得られる税関当局発行の国際許可制度です。タイでは、税関から発行されるゴールドカードが対象であり、日本の特定輸出者にあたります。

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(2021年10月作成)

免責事項

本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。