タイ法務改正動向:民商法-合併にかかわる手続き条文の改正について

本年2月に施行された民商法―非公開会社について、既報のとおり合併制度の変更(吸収合併制度の追加)がありましたが、今回の改定においては合併手続き関連の規定にも以下のような変更や新規規定追加が行われております。

項目

内容

注記

1. 反対株主の 株式買取制度 (1239/1条)

 

  • 会社は合併に反対する株主に対して、その保有する株式を買取る株主を紹介することができる。その譲渡価格については原則としては売主(反対する株主)と買主の合意によるものとする。
  • 上記の譲渡価格が合意に至らなかった場合には、会社は省令に沿った評価人を選定して譲渡価格を決定することができる。(ただし、まだ省令は発布されていません)
  • 買取人は買取申入書を反対株主に対して発行し、反対株主は14日以内に買取に応じるかどうかを回答しなければならない。
  • もし、反対株主が14日以内に買取に応じない場合には、合併手続きはそのまま進められ、反対株主に対しても、新会社・存続会社の株式が割り当てられることになります。

新規規定

2. 債権者の異議申し立て(1240条)

  • 合併の株主総会が決議された後、会社はそれを公告するとともに、14日以内に債権者に対して通知を行わなければいけません。
  • 債権者は異議のある場合、通知を受け取ってから1ヶ月以内にそれを会社に伝えなければなりません。

異議申し立て期間が60日からヶ月に短縮されました。

3. 共同株主総会の開催
(1240/1条)

  • 異議申し立て期間終了後、以下の項目について決議を行うため、合併する会社の取締役は、共同株主総会を招集しなければならない。: 
  1.  新会社の社名:新しい社名もしくは合併前のどちらかの社名を利用できます。
  2. 新会社・存続会社の事業目的
  3. 新会社・存続会社の資本金:合併・吸収する会社の資本金を下回ることはできません。
  4.  資本金の割り当て
  5. 新会社・存続会社の基本定款
  6. 新会社・存続会社の付属定款
  7. 取締役の選任
  8. 監査人の選任

この共同株主総会は各合併当時会社の個別株主総会で合併が決議されたのち、6ヶ月以内に行われなければならない。また事情により開催が遅れた際においても、個別株主総会のうち遅く決議されてから一年以内に上記内容を決議しなければならない。

新規定

4. 共同株主総会の
 定足数と議決
   (1240/2条)

  • 共同株主総会の定足数は、各合併当事会社の50%以上の株数の株主の出席を要するものとする。
  • 決議については、別途合意のある場合を除き、出席した株主の過半数により議決されるものとする。

新規定

5. 新設・吸収合併における合併当事会社の取締役の義務
(1240/3条)

合併当事会社(旧会社)の取締役は、会社の事業資産、会計、書類、証憑等を共同株主総会の開催後7日以内に新会社の取締役に引き継がなければならない。

新規定

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(2023年3月作成)

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