タイ税務改正動向:非居住eサービス提供者に関するガイドライン

歳入法修正53条により、電子サービスや電子プラットフォームを提供する非居住事業者で、タイのVAT登録事業者以外に対してタイで利用されるサービスを提供するものは、年間180万バーツ 以上の電子関連サービスの売り上げがある場合、2021年9月1日から、タイにおいてVAT事業者登録を行なって、VATの申告とVAT売上(INPUT VAT控除なし)の納付、TAX Invoiceの発行を行わなければなりません。

2021年7月、歳入局は当該内容についてのガイドラインをホームページ上で発表しました。( “A Guide on VAT on Electronic Services Provided to Non-VAT Registrants in Thailand by Non-resident Business Persons (First Edition)” )その要約は以下のとおりです。

VAT登録の区分

非居住電子サービスおよび電子プラットフォーム提供者の登録区分は以下のとおりとなります。

非居住電子サービス提供者

非居住電子プラットフォーム提供者

海外から電子的手段により
サービスを提供するもの。

非居住電子サービス提供者に代わって、サービスの申込、
接受、提供を行う手段を提供するもの。

サービスを受けるものはタイにおけるVAT登録事業者以外で、そのサービスはタイ国内で利用されるものが対象。

サービスの収入は年間(個人事業主、普通パートナーシップ)もしくは会計期間(会社、有限パートナーシップ)において180万バーツ以上

対象となるeサービスについて

ガイドラインでは、新聞、雑誌、教科書の電子的配布についてはVAT対象から除外されており、そうしたものを対象とする場合には、VATの登録・納付は必要ありません。また、物品の販売についても、物品の輸入通関時にVATが課せられるため対象とされていません。

VAT事業者登録について

180万バーツの売り上げを超えた日から、30日以内に非居住eサービス提供者はVAT登録を行う必要があります。その登録方法については2021年9月1日以降歳入局から発表されます。

VAT登録申込書と必要書類については、歳入局ホームページの”Simplified VAT System for e-Services (SVE) “という項目からアップロードして申請することが可能です。また、添付必要書類は以下のようになっています。

1.  法人

  • 公式英訳され大使館認証された会社登記簿
  • 登記国における税務登記証(場合により)

2.  個人および個人事業主

  • パスポートもしくはID
  • 居住国における税務登記証(場合により)

税務登記完了時にSVEを通じて完了通知があり、また歳入局ホームページに掲載されます。

VAT 納付

VAT登録事業者は、VAT申告票(Form P.P.30.9)を使って、月次VAT申告をSVEから翌月23日までに、売り上げがない場合でも毎月行います。納付については、歳入局銀行口座へ送金する方法とクレジットカードで支払う方法があります。

Output VAT(売上VAT)レポート

VAT登録事業者は、歳入局所定の方法にしたがって売上VATレポートを作成しなければなりません。当該レポートおよび関連証憑は5年間保存し、税務調査時に要求があれば提出しなければなりません。

歳入局の管轄について

歳入局大企業納税部局(Revenue Department’s Large Business Tax Administration Division)では、当該非居住eサービスに関する納税を、SVEやメール等を通じて管理管轄します。また、違反についてはタイ居住者と同等の罰則をもって対応することとされています。

なお、弊社では税務部門において申請・納付等の対応を行わせていただいております。

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(2021年8月作成)

免責事項

本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。