会計論点解説:タイにおける非公開企業向け会計基準 (TFRS for NPAEs) の改定について (1)

現在のタイ非公開企業向け会計基準(Thai Financial Reporting Standards for Non-publicly Accountable Entities (“TFRS for NPAEs”))は2011年1月1日より発効していますが、その後の経済活動・事業分野の拡大にともない、タイ会計士協会(Thai Federation of Accounting Professions (“TFAC”))では、より企業の財務状況を適切に表すために、この会計基準の改訂に取り組んできました。

本年4月より、改訂原案の公聴会が開かれており、2023年1月以降の会計年度おいて導入を行うべく、現在以下の項目の改訂が検討されています。(表は項目の抜粋です)また、内容については、今後も続きを本ニュースレターでお伝えさせていただければと思います。

項目

現行TFRS for NPAEs

改正案

章の数

現行では全部で22章あります。

以下の6章が追加される予定です。

  • 農業関係について
  • 政府補助金
  • デリバティブ
  • 企業結合
  • 鉱物の採掘
  • サービス委譲契約

非公開企業(NPAEs)の定義

以下に該当しない業種

  • 株式・債券が取引所で取引されている。
  • SEC、SET等政府関係機関に財務諸表報告が求められている。
  • 銀行・証券等特別に監督期間より求められている。
  • 公開企業 (Public Company)

NPAEsとして以下の業種を追加して指定。

  • 質店業
  • プライベートアセットマネージメント

中間財務諸表作成

中間財務諸表作成は認められていません。

TAS(タイ会計基準)をベースとして、TFAS for NPAEsに関連しない項目を除いた形での中間財務諸表作成を許容。

その他包括的利益計算書の作成

無し

包括的利益計算書について、損益計算書と通算の1計算書方式、もしくは2計算書方式を選択して、表示可能

連結財務諸表もしくは持分法の適用

許容されていません。

タイ会計基準等 (TAS、TFAS)に沿って、連結財務諸表もしくは持分法を適用可能

有形固定資産の当初認識と再評価法の採用

取得原価法のみ可能

評価が適正に得られる場合のみ、定期的な再評価による、再評価法の採用を許容

耐用年数が不確定な無形固定資産

10年での償却

10年以内と規定

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(2022年8月作成)

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本記事は、作成日時点でのタイの法律等改正動向や一般的な解釈に関する情報提供を目的としております。内容については、正確性を期しておりますが、正確性を保証するものではなく、また作成後の法律改正等により最新の情報でない場合もあります。本記事の利用は、利用者の自身の判断責任となり、利用により生じたいかなるトラブルおよび損失、損害に対してMazarsは一切責任を負いません。個別の具体的な案件を進める場合には、事前に専門家へご相談頂きます様、お願い申し上げます。