タイ税務改正動向 : BEPS-移転価格税制-グローバル・ミニマム課税の導入について

OECDによって進められている「税源浸食と利益移転 (BEPS: Base Erosion and Profit Shifting) 」のフレームワークに準拠した国内法の整備を進めることが求められている中で、タイ政府はグループ連結売上高が750Mユーロ(約1170億円)以上の多国籍企業に対して、いわゆる「グローバル・ミニマム課税」を導入するプランを発表しました。

3月7日の閣議において、上記対象企業の子会社がある場合、当該子会社の実効税率が15%以下となっている場合には、親会社もしくは子会社にたいして15%まで追加課税を行うもので、歳入局とBOIも含めて以下のように検討が進められています。       

                                                

歳入局関連

  • グローバルミニマム課税の制度に沿って、追加課税 (Top-Up Tax)を行う。
  • 当該追加課税の税収の内、50-70%を「特定産業力強化法 (Competitiveness Enhancement Act) 」におけるターゲット産業強化の資金に充当する。
  • 追加課税を納める企業の情報をBOIと共有する。

 

BOI関連

  • 追加課税の税収の内を「特定産業力強化法 (Competitiveness Enhancement Act) 」におけるターゲット産業強化の資金に充当できるように、当該法を改正する。
  • ターゲット産業に対する補助金政策を採用することにより、産業誘致を進める。(いわゆる税優遇から補助金政策への転換)
  • 既存税制優遇措置に対するグローバル・ミニマム課税導入の影響を軽減するような方策の策定。

歳入局では2025年のグローバル・ミニマム課税の導入を目指して作業中であり、BOIとも連携して法律案を策定中とのことです。今後OECDにおけるBEPSに関するタイの取り組みについては注視していく必要があります。

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(2023年6月作成)

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